Grasse, Mon. July 23rd - the scent of my child
*** translation in progress ***
7/23(月)- 我が子の匂い
(雲ひとつないカラカラの晴天が続いていたのに、今日は久々に曇が出てひんやり)
調子良く起き、調子良く山登りし、学校に到着。
体が山道にすっかり慣れました。
嗅覚を使うことの体力仕事に加え、相当な距離を毎日歩いているから、
ちょうどいい具合に痩せた(というより、やつれた)気がします。
(滞在先B&Bの隣は、ペイヤンという香料工場。この日はシャンプーの匂いがしました。)
(グラースの美しい街並を左に眺めながら、学校へ)
(土もないのに育つハーブのたくましさ。)
朝から合成香料を10種類くらい嗅ぎます。
先週、アルデハイツに鼻がシャット・ダウンしてしまったので、
注意深く、遠くで団扇を扇ぐように。
ランチの後、校長のボディフェ氏に
匂いの抽出に関する個人指導をしてもらいました。
蒸留にしてもわたしはほとんど全て独学なので、彼もビックリ。
彼はその後、私にいろいろなツテを紹介するよう
学校のスタッフに指示を出してくれたようです。
まったくこのカミカゼ・ジャパニーズは無茶なことして・・・
とでも思ったのでしょうか。
ベビーとマザーの匂いの話しで盛り上がりました。
「ベビーの匂いはそれでは、ひとりひとり違うのですか」
「そうです。お母さんの母乳の味がひとりひとり違うからでしょう。
お母さんが何を食べるかにも依りますからね。」
「なるほど。いつごろまでそういうふうに匂うのですか」
「私の経験からすると、母乳を止めて数ヶ月間までです」
「で、その匂いをお母さんとしては、後からも覚えてるものでしょうか。」
「それはもう大切な記憶と直接結びつく匂いなのですから、
嗅げばすぐわかるのではないでしょうか。
もしかしたら、子どもの側も認識できるかもしれませんね。」
「ほう。なるほど。私はそんなこと考えもしませんでしたが、おもしろいテーマです。」
・・・とこんな感じ。
どんなお母さんも、我が子の匂いというものは、
わりと嗅ぎ分けられるものではないでしょうか。
脱ぎ捨てられてるシャツのどれがその子のものかとか・・・
わたしもSenのにおいなら、今も昔もたぶん、目かくしされてもすぐわかる。
B&Bのソランジェもそれはうなずいていました。
「わたしは、朝起きた時の子どもの匂いが大好き。
ふたりの息子を嗅ぎ分けられるのよ。
匂いを自分だけが独占しているという幸福感も味わえるしね。」
(先週調合した、アコードとフジェーの香水。今週嗅いでみると、まろやかに。)
学校が終わった後は、コースケくんと偶然帰りが一緒になったので、
カフェでゆっくり話しました。
サムライのような風貌で、力のある目の持ち主である彼は、まだ19歳・・・
若いのに芯がありそうなのには、やっぱりわけがあります。
高校で生物化学を学んだ後、香水を勉強したくて、単身フランスに来たのだそうです。
1年半の間、語学学校でフランス語を学び、いろんな体験もすると、
それなりにまた視野が広がり、
「香水もやりたいけど、他にもいろいろやりたいこともでてきたんです」と。
話しを聞きながら、じぶんの18歳くらいの、ちょうどアメリカ留学を終えたころに重ねていました。
留学する前の私は、世界を駆けるフォト・ジャーナリストになりたかった。
憧れの人といえば、ユージン・スミス(水俣病を追った人)や吉田ルイ子(黒人開放を追った人)。
ところが実際留学してみると、
もっと「表現」して「交流」したくなり始めた。
アメリカでは、絵を描くことこそが私のアイデンティティであり、
私なりのコミュニケーション手段でした。そのせいかもしれません。
そんな経緯が今の私の根となっています。
彼は香水だけでなく、クラシック・ギターも愛している。
そして旅行もして、もっと世界を見てみたいと思っている。
その夢や希望、ものすごくよくわかる。
匂いと音、どちらも世界に通じる「共通語」。
その言葉を、使ってみたいんだよね ---
これからどういうふうに彼が「発展」していくのか、とっても楽しみ。
帰り道。
後ろから走って追いかけてきた人がいた。
びっくりして振り返ると、目がキラキラしてニコニコした若いお兄さん。
「エクスキューズ・ミー。アー・ユー・ロンリー・トゥナイト?」と。
・・・この清々しい誘い方に、ちょっと面食らう。
ロッテルダムのようなスレた都会ではこんな言葉は聞かないなー。
夜、月を追いかけ、いちじくの木の香りを辿り、川のせせらぎを聞きながら家に着く。
7/23(月)- 我が子の匂い
(雲ひとつないカラカラの晴天が続いていたのに、今日は久々に曇が出てひんやり)
調子良く起き、調子良く山登りし、学校に到着。
体が山道にすっかり慣れました。
嗅覚を使うことの体力仕事に加え、相当な距離を毎日歩いているから、
ちょうどいい具合に痩せた(というより、やつれた)気がします。
(滞在先B&Bの隣は、ペイヤンという香料工場。この日はシャンプーの匂いがしました。)
(グラースの美しい街並を左に眺めながら、学校へ)
(土もないのに育つハーブのたくましさ。)
朝から合成香料を10種類くらい嗅ぎます。
先週、アルデハイツに鼻がシャット・ダウンしてしまったので、
注意深く、遠くで団扇を扇ぐように。
ランチの後、校長のボディフェ氏に
匂いの抽出に関する個人指導をしてもらいました。
蒸留にしてもわたしはほとんど全て独学なので、彼もビックリ。
彼はその後、私にいろいろなツテを紹介するよう
学校のスタッフに指示を出してくれたようです。
まったくこのカミカゼ・ジャパニーズは無茶なことして・・・
とでも思ったのでしょうか。
ベビーとマザーの匂いの話しで盛り上がりました。
「ベビーの匂いはそれでは、ひとりひとり違うのですか」
「そうです。お母さんの母乳の味がひとりひとり違うからでしょう。
お母さんが何を食べるかにも依りますからね。」
「なるほど。いつごろまでそういうふうに匂うのですか」
「私の経験からすると、母乳を止めて数ヶ月間までです」
「で、その匂いをお母さんとしては、後からも覚えてるものでしょうか。」
「それはもう大切な記憶と直接結びつく匂いなのですから、
嗅げばすぐわかるのではないでしょうか。
もしかしたら、子どもの側も認識できるかもしれませんね。」
「ほう。なるほど。私はそんなこと考えもしませんでしたが、おもしろいテーマです。」
・・・とこんな感じ。
どんなお母さんも、我が子の匂いというものは、
わりと嗅ぎ分けられるものではないでしょうか。
脱ぎ捨てられてるシャツのどれがその子のものかとか・・・
わたしもSenのにおいなら、今も昔もたぶん、目かくしされてもすぐわかる。
B&Bのソランジェもそれはうなずいていました。
「わたしは、朝起きた時の子どもの匂いが大好き。
ふたりの息子を嗅ぎ分けられるのよ。
匂いを自分だけが独占しているという幸福感も味わえるしね。」
(先週調合した、アコードとフジェーの香水。今週嗅いでみると、まろやかに。)
学校が終わった後は、コースケくんと偶然帰りが一緒になったので、
カフェでゆっくり話しました。
サムライのような風貌で、力のある目の持ち主である彼は、まだ19歳・・・
若いのに芯がありそうなのには、やっぱりわけがあります。
高校で生物化学を学んだ後、香水を勉強したくて、単身フランスに来たのだそうです。
1年半の間、語学学校でフランス語を学び、いろんな体験もすると、
それなりにまた視野が広がり、
「香水もやりたいけど、他にもいろいろやりたいこともでてきたんです」と。
話しを聞きながら、じぶんの18歳くらいの、ちょうどアメリカ留学を終えたころに重ねていました。
留学する前の私は、世界を駆けるフォト・ジャーナリストになりたかった。
憧れの人といえば、ユージン・スミス(水俣病を追った人)や吉田ルイ子(黒人開放を追った人)。
ところが実際留学してみると、
もっと「表現」して「交流」したくなり始めた。
アメリカでは、絵を描くことこそが私のアイデンティティであり、
私なりのコミュニケーション手段でした。そのせいかもしれません。
そんな経緯が今の私の根となっています。
彼は香水だけでなく、クラシック・ギターも愛している。
そして旅行もして、もっと世界を見てみたいと思っている。
その夢や希望、ものすごくよくわかる。
匂いと音、どちらも世界に通じる「共通語」。
その言葉を、使ってみたいんだよね ---
これからどういうふうに彼が「発展」していくのか、とっても楽しみ。
帰り道。
後ろから走って追いかけてきた人がいた。
びっくりして振り返ると、目がキラキラしてニコニコした若いお兄さん。
「エクスキューズ・ミー。アー・ユー・ロンリー・トゥナイト?」と。
・・・この清々しい誘い方に、ちょっと面食らう。
ロッテルダムのようなスレた都会ではこんな言葉は聞かないなー。
夜、月を追いかけ、いちじくの木の香りを辿り、川のせせらぎを聞きながら家に着く。
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